2006年に教育基本法が改定されると、大学の教育や研究成果を広く社会に提供し、社会の発展に寄与することが大学の役割として位置づけられた。こうした背景から、全国で大学による産学連携や地域連携に関する取り組みが広がるようになった。本研究が取り上げる大学生による活動もその一つであり、グループ、あるいはプロジェクトベースで実施される。こうした産学連携や地域連携に関する活動では、活動の主体となる学生だけでなく、そこには必ずと言っていいほど連携先となる企業や自治組織、団体などの相手が存在する。相手側には、「学生に頼めば何でもやってくれる。大学で勉強しているのだから専門的な解決策を見つけてくれる。」といった強い期待を持っている一方で、学生側には、「多くのことを頼まれすぎてしまう。自分たちのやりたいことができない。」といった不安や不満が生まれている。こうした学生側と相手側のすれ違いに関する問題は各地で起こっていると指摘されているものの1)、具体的な解決方法については、未だ検討の余地がある。本研究では、平成30年度に実施された長岡造形大学大学院のプロジェクト科目「地域特別プロジェクト演習」(以下、活動5)と記述)を取り上げ、教員による従来のアプローチだけでなく、学生の視点からもこの活動を捉え、学生活動の評価や教育効果を補完的に検証する。そして、産学連携や地域連携のような活動を実施するうえで学生が何を求めるのか、そして、このような活動はどうあるべきなのかを検討し、学生側と連携先とのすれ違いに関する問題の解決への接近を試みる。