統治・教育・自己—近代教育のストラテジーをめぐって—
近代に成立した「教育」という関係行為の特質を、近代社会と近代的自己の存立機制を明らかにすることによって原理論的に捉えようとした論文。近代市民社会は規範の準拠点を社会の内側にもつ等質空間であり、また近代的自己も内面的な規範形成を主軸として形成される。そのような外部なき社会や自己の変容は、その内側において自己準拠的になされるしかなく、こうした自己準拠性こそ、社会の統治と自己統治とを貫く近代教育がいかなる仕掛けを持つものかを示しているという仮説的結論を得た。
東京大学教育学研究科紀要
第39巻
2000