骨相学と教育—G.Combe の教育論を中心に—
頭蓋骨を人間の性格の指標とする骨相学は、19世紀のイギリスにおいて隆盛を極めた。本稿は、イギリスにおける骨相学の第一人者とも言うべきG.コームが大量に残した教育論の分析を通して、骨相学と教育の密接なつながりを論じようとしたものである。生物学的決定論と人間の改良可能性を奇妙に結合させた骨相学は、当時の大衆教育論にとって適合的であり、かつ骨相学による自己認識によって、人々が学校教育にコミットしようとする「教育的心性」も生み出されてくるのだという仮説的結論を示した。
大人と子供の関係史第三論集
1998