近代大衆学校におけるモニトリアル・システムの意味—バリントン・スクールから見えてくるもの
(児美川佳代子名で執筆)
モニトリアル・システムは、先行研究において、18世紀末の博愛主義的な貧民救済と、19世紀半ばにおける公教育整備過程の双方に密接に結びつけられている。本稿は、A.ベルのモニトリアル・システムに基づいて設立されたバリントン・スクールの実践原理を検討することによって、モニトリアル・システムが<自助>の実践そのものであり、そこに博愛主義的な慈善としての教育から近代大衆学校が離床する出発点となり得た理由があったことを示したものである。
東京大学大学院教育学研究科紀要
第36巻
1996