本研究では神奈川県相模原市立小山中学校の第三学年の生徒に対して防災トランプを用いた防災授業を各クラスの担任である教員が実施した内容を示すとともに、質問紙調査からその有効性について評価を行った。その結果、生徒は授業に楽しく取り組み、ルールを理解していた。また、「授業に楽しく取り組めたこと」と「相手の話から学べたこと」には正の相関が認められた。さらに、相手の話から学びを得て、普段から防災について考えたいと内的な行動意識が喚起されていたことを確認した。一方、自分の話は相手に役立つかという観点では自己効力感が低い状況であった。「自分の話が相手に役立つ」という認識が多くの生徒に持たれなかったことについて、教員が「まとめ」の中でその視点を生徒に提示することで「自分の話が相手に役立つ」という自己効力感が生徒の意識にも影響を及ぼし、内発的動機づけを高める可能性が示唆された。