本論文は、神奈川県横浜市港南区、戸塚区を対象に「防災トランプ」を活用した対話による地域防災訓練を実施した結果を基に実施モデルを示すとともに、その効果と実現性として以下の点を明らかにした。第一に、質問紙調査結果により、参加者に対する「防災意識の向上効果」が認められ、特に子どもから年配の参加者が混ざった世代構成で実施する方が、上記効果が認められやすいことを確認した。第二に、対話分析及び質問紙調査結果により、防災を主題にした対話において「イメージの具体化」と「当事者意識の促進」に対する効果が示唆された。第三に、「非専門家-非専門家」間のリスクコミュニケーションにおいて、「話し手が状況を具体的に共有」した上で「危険や困りごとの情報を伝達」することが成立条件となると考察した。