2016年(平成28年)に「都市再生特別 措置法」が改正され、「低未利用土地利用促進協定」 の制度が創設された。続いて2018年(平成30年)に 同法等の改正により「立地誘導促進施設協定」が創 設された。これらは都市地域において空き地・空き 家等の低未利用地が増加するいわゆる「都市のスポ ンジ化」に対応する法制度上の措置の一つである。いわゆる街区 レベルの「ミクロ」の範囲で、行政がこれまでの受 け身であった「ネガティブ・プランニング」から、 適切な土地利用に向けて土地所有者や利用希望者に むけて能動的誘導を図る「ポジティブ・プランニン グ」である。これまでの日本の都市計画制度がコペ ルニクス的転換を迎えたと言っても過言ではない。
ただし、この大きな制度の性格の変化は、都市計 画実務者や都市計画教育者にもそれほど浸透してい ないことが指摘されており、実際制度ができて それぞれ6年、改正後:4年経過した2022年現在で も当該制度適用事例は報告されていない。そこで、この残念な状況を少しでも打破すべく、 地方建築系学科の都市計画演習が触媒となりうるか 考察すした。