|
本研究では,農産廃棄物である籾殻の有効活用および生分解性を有する再生可能資源を用いた環境負荷の少ないプロダクト製造の実現を目的として,籾殻を材料押出式3D プリンタの材料として活用する技術の探求を行った.バインダーとして稲作地域で容易に入手可能な米粉に着目し,籾殻と米粉ペーストの混合材料を用いた積層造形技術の確立に向けた初期実験として,材料特性および造形品質の評価を行った.その結果,粒径が大きい籾殻を用いた場合,ペースト材料のかたさは増す一方で,凝集性,付着性およびガム性は低下する傾向が見られ,粒径の小さい籾殻パウダーの方が3D プリントに適することが示された.造形物の乾燥後の外観に関しても,粒径の小さい籾殻を使用した方が亀裂が少なく,表面品質において優位であることが確認された.また,造形後の乾燥により,壁厚および高さ方向の収縮が顕著であることが確認されたが,米粉ペーストの加熱時間の違いによる収縮率の明確な差異は確認されなかった. |