金属の存在/自己の存在—叩く行為から生まれる表現—
本論は、金属の物性を自己の存在へと変容させていく表現を、“金属を動かす”という行為を通して論じている。「外編 金属を捉える」、「内編 行為と思考」から成る二部構成で、金属素材そのものについてと、制作における行為と思考についての二本柱で論じ、結論として制作における素材・行為・表現の関係性を明らかにしている。金属素材の歴史を背景に、鍛金技法、湯床吹き技法の研究による制作論として、プロセスそのものが作品表現にとって思考そのものを支える重要な要素となっていることを追及している。
金沢美術工芸大学大学院博士後期課程学位申請論文
2010/05